第37回 長野県松本市   〜大正末期に生産量日本一となり一世を風靡した300年続く松本家具

 長野県松本市。人口が約24万人の国際会議観光都市に指定されている県内第二の都市である。1907年(明治40年)に松本市とされ、2007年(平成19年)に市制施行100周年を迎えている。エレキギターの生産が盛んで、「松本てまり」「松本姉様人形」「七夕人形」「松本押絵雛」など民芸とクラフトの街としても知られており、国宝松本城を擁した観光地である。また、松本城を筆頭に旧開智学校などの歴史的建造物が多く保存されている。

 松本市は、空気が乾燥して風通しが良く木材の乾燥に適しており、家具作りに最適な場所が要因で、当時すでに城下町として栄えていた安土桃山時代から家具の生産が盛んな土地柄だ。松本家具の主要材料であるミズメ桜(梓の木)は、硬くて粘り強い家具の用材として適した木で、その硬さゆえ、加工には機械を使わずに職人の手のみで作られている。良質な材料と鍛えぬかれた職人の技によって、美しく、かつ、堅牢な使うほどに味わい深い重みをもった家具として評価されている。

 松本家具は「和」のしたたかさと「洋」のセンスがバランスよく調和するデザインに特徴があり、江戸時代から明治、大正、昭和とそれぞれの時代に応じた数多くの家具を生み出してきた。中でも、1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災の復興に伴い、家具の需要が高まり、大正時代の末期には家具の生産量が日本一となって一大家具産地を築き、一世を風靡したこともある。

 しかし、太平洋戦争が始まると一時、生産が中止に追い込まれた。産地衰退の危機を救うため、戦後の1948年(昭和23年)に、池田三四郎が中心となって民芸運動に参加して木工産業の復興を図った。家具と言えば、福岡県大川市や北海道旭川市、岐阜県高山市などが家具産地として知られているが、松本家具も知る人ぞ知る存在で、1976年(昭和51年)に当時の通商産業省から家具部門としては全国で最初の伝統的工芸品の指定を受けており、300年以上の歴史をもっている。

 最後に、松本市の観光名所である国宝松本城について。松本城は姫路城(兵庫県)、彦根城(滋賀県)、松江城(島根県)、犬山城(愛知県)と並び国宝5城の一つで、1930年(昭和5年)に史跡指定され、1936年(昭和11年)に重要文化財として指定された。その後、戦災や火災を免れ、新たに制定された文化財保護法によって、1952年(昭和27年)に国宝指定されている。

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松本城公園から見る国宝松本城。1504年に築城されて深志城と呼ばれ、1582年に今の松本城に改名された。

 (長野県松本市) 国宝松本城

 (2010年5月撮影)


 


国宝松本城。国宝天守5城の一つ。1936年(昭和11年)に重要文化財として指定され、特に優れたものが1952年(昭和27年)に「国宝」に指定し直された。

 (長野県松本市) 国宝松本城

 (2010年5月撮影)



松本城のお堀。明治時代に入ると、不要な堀は埋められ、わずかに残された総堀。

 (長野県松本市) 国宝松本城

 (2010年5月撮影)


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