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第2回 宮城県白石市      〜温かい思いやりの心から生まれた白石の特産・白石温麺(うーめん)

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宮城県南部、蔵王連峰の麓に位置する人口約3万人の白石市。ここに400年の伝統がある名産品『白石温麺(うーめん)』がある。江戸時代、胃を患い何も食べられない父のために、息子が旅の僧侶から油を使用しない麺がある、と聞き、製法を学んで完成したのが『白石温麵』である。この麵は消化が良く滋養に富んでいて、食した父は快方に向かったという。この話を聞きつけた白石城主・片倉小十郎公が「温かい思いやりの心」を称えて、この麺に『白石温麺(うーめん)』と名付けたという。この『白石温麵』は片倉氏が使えた仙台藩主・伊達家への献上品にもなったと言われている。さらに、伊達家から他の大名家や京の公家への贈答品にも使われたという。すなわち、「伊達家お墨付き」の麺なのである。『白石温麵』は地元白石産の小麦粉と蔵王の清澄な水から製造するが、保存料や添加物を一切使用せず、常温での保存が可能で安心して食べられる麺である。そうめんと比べても太く、9センチという短さで茹でやすく、食べやすい麺である。食べられる場所は限られており、東北新幹線・白石蔵王駅の食堂でも食べられるので、白石市に行かれたら、ぜひ食してもらいたい逸品です。 ちなみに、この白石市が戦国のヒーローでもある真田家とゆかりが深いことをご存知だろうか?二代目・片倉小十郎が大坂夏の陣で、真田家と対峙した際、豊臣方の敗北と自らの最期を悟った幸村が、自らの娘・阿梅(おうめ)と次男・大八を片倉小十郎に預け、見事、片倉家で成長している。阿梅は小十郎の後妻になり、大八は伊達藩士に取り立てられた。 かつて、片倉氏が奨励し保護政策として存続してきた『白石温麵』は400年にわたり、地元の人々の間で食べられてきた。まだあまり知られていない食品でもあるので、皆さんに一度は味わっていただきたいものである。          提供:一般社団法人 全国伝統産業承継支援 (伝統産業ドットコム)           こちらのサイトもご覧ください。        伝統産業の事業引き継ぎは『伝統産業ドットコム』に     事業承継のセミナー・講演会を全国各地で開催しています 。                   過去の開催実績はこちらをご覧ください。       LINE公式アカウント『伝統産業ドットコム』を開設しています。         LINEID    @529oldri  

第1回 群馬県桐生市      〜1300年を超える歴史をもつ繊維産業の一大産地

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 『西の西陣、東の桐生』とも言われ、奈良時代から織物で栄えた桐生市。1300年を超える歴史ある街である。また『桐生は日本の機どころ』とも上毛かるたでも歌われている。よって、桐生市の織物産業は、企画から製品化までのデザイン、撚糸、染め、織、編み、刺繍、縫製といった多くの工程の技術が集積した日本を代表する繊維産地である。  桐生織にはこんな逸話も残されている。あの天下人・徳川家康の要請により、天下分け目の関ケ原の戦いの際には、職人が白絹で軍旗2410疋をわずか1日で織って献上したと言われている。つまり、桐生織は家康に勝利をもたらした幸運を呼び込む織物でもある。その家康の命により、桐生の街は天正19年(1591年)から慶長11年(1606年)の間に養蚕や絹織物の拠点として整備された。よって、徳川家康は桐生の街の生みの親と言っても過言でない。  桐生織物は、お召織り、緯錦織りなど7つの技法があり、様々な種類の織物が作られてきた。江戸時代後期から産業として発展。明治維新を迎えると工業化が進み、1881年(明治14年)には、日本で初めて対米輸出された。さらに1887年(明治20年)には日本織物株式会社が設立されて工業化に成功し、日本の代表的な産業としての地位を確立した。その後、昭和初期には「ノコギリ屋根」といって、三角屋根が特徴な形状の織物工場が多く立ち並ぶまでに成長した。  桐生織は1977年(昭和52年)に当時の通商産業大臣から『伝統的工芸品』の指定を受けた。また、1997年(平成9年)には桐生織物会館旧館(現・桐生織物記念館)が国の登録有形文化財に指定された。近年では2008年(平成20年)に、「桐生織」が地域団体商標に登録されている。だが、栄華を極めた桐生の繊維産業だが、海外からの安価な製品などの流入により近年は苦戦を強いられており、立て直しが急務とされている。  最後に食の話題を。桐生市を中心とした北関東一帯は「小麦」の産地でもあり、桐生市内では『ひもかわ』といって、小麦で作られた薄くて幅の広いうどんが有名である。ぜひ、桐生に立ち寄られれば食べてみて下さい。   提供:一般社団法人 全国伝統産業承継支援 (伝統産業ドットコム)          こちらのサイトもご覧ください。       伝統産業の事業引き継ぎは『伝統産業ドットコム』に     事業承継のセミナー・講